日本の日本語学校の日本語教育レベル基準新設等に関する日本語教育関係者の方々のご意見やご見解
みなさま、こんばんは。いかがお過ごしですか。
前々回のエントリー
https://ochibohiroi2020.hatenablog.com/entry/235500
日本の日本語学校、日本語教育レベルに関する基準が新設されるようです
と前回のエントリー
https://ochibohiroi2020.hatenablog.com/entry/235000
日本の日本語学校の日本語教育レベル基準新設等に関して、日本政府によるコメント、意見募集
で取り上げている日本の日本語学校の日本語教育レベル基準新設等に関して、(すでにお伝えしている通り、)2019年4月26日から2019年5月27日までの約1か月の期間、日本政府によるコメント、意見の募集が行われているようです。
再度のご紹介になりますが、パブリックコメントは下記のURLで見ることができます。
https://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=315000003&Mode
日本語教育機関の告示基準の一部改正について(意見募集)
現時点で気がついた範囲に過ぎませんが、日本語教育関係者の方々がブログやNoteなどにご意見やご見解をまとめていらっしゃるようです。
簡単にですが、ご紹介させていただきます。
〇今井新吾氏のご意見、ご見解
早稲田大学日本語教育研究センター教授の今井氏はご自身のブログの
https://shingo-imai.blogspot.com/2019/03/blog-post.html
というURL、
20190513 すべては対話からはじまる。対話に参加せよ。対話しない者に未来はない。
20190419 文科省が本気になった。
20190418 今でしょ!
の3か所で、日本の日本語学校の日本語教育レベル基準新設に関して直接ご意見やご見解を述べていらっしゃるようであり、また、
20190515 スタンダードじゃダメ。あくまで、参照 Reference!
20190425 JLPTとJFスタンダードは相関しない
では、国際交流基金が提唱しているJF日本語教育スタンダードとCEFRの相違点、日本語能力試験(JLPT)のことなど関連する話題が取り上げられているようです。
今井氏のご意見、ご見解は明快で、ご教示いただいたことが多岐にわたるのですが、「20190513 すべては対話からはじまる。対話に参加せよ。対話しない者に未来はない。」のQ&A形式で書かれているところの1つ、CEFRのA2レベルという日本語レベルが低過ぎるのではないかという質問に対する回答がわかりやすく書かれていて大変勉強になりました。その箇所を引用しておきます。
>A2レベルは低すぎませんか?
確かに低すぎる。しかし、1年やってもこの程度に届かない日本語学校があるということだ。そんな日本語学校を存続させてはならない。ひと昔前は、日本語能力試験1級が学部入学の条件だった。それが、いつぞやからN2(旧試験では1級と2級の間)になり、そして今では日本語ができなくても「進学」できる大学や専門学校がある。本当は一年でB2と言いたいところだが、そうすると試験対策に走る学校が出てくる。A2なんぞ、普通に授業をしていれば3か月で到達できる。それさえクリアできない学校はもはや学校とは言えない。だからと言って、A2をクリアしたらいいという話ではない。日本語学校は、当然もっと高みを目指すべきである。だからA2は学校を評価する基準ではない。あくまでも足切りのための最低限の最低限なのだ。
〇神吉宇一氏のご意見、ご見解
日本語教育学会副会長の神吉氏はnoteにご自身のご意見、ご見解をまとめられているようです。
https://note.mu/uichi1113/n/n1b7657038e14
日本語学校の質保証とCEFRのA2について(1)
https://note.mu/uichi1113/n/na6c5dcf1df19
日本語学校の質保証とCEFRのA2について(2)
https://note.mu/uichi1113/n/n18770c1f7f09
日本語学校の質保証とCEFRのA2について(3)
参考になったところもありましたが、わかりにくい表現をあえて使用されているように思われる箇所が散見されて、ご主旨の一部はあまりよくわからなかったというのが率直なところです。
特によくわからなかった箇所は、いわゆる「偽装留学生」問題に取り上げているところです。
出井康博氏の記事
https://president.jp/articles/-/28422
8割以上の日本語学校は"偽装留学生"頼み
に関して、『不正確な情報を引用して,もっともらしく書かれた、、』と批判されているようである一方で、そのすぐ後に「」付きで「うそではない記事」と続けて書かれているところが不可解でした。『不正確な情報を引用して,もっともらしく書かれた「うそではない記事」』という箇所は、そのように表現されたご意図がわかりにくいと思いましたし、大変失礼かとは存じますが、日本語表現としてわかりにくいだけではないか、と思ってしまいました。
その他のこととして、後段で神吉氏は『就労を目的とした,いわゆる「偽装留学生」が存在することは事実であり,その数は少なくありません』と書かれ、続けて『その根本原因は,人手不足の状況にありながら,いわゆる「単純労働者」の受け入れを頑なに認めてこなかった政府の政策決定によるところが大きいと思います。、、』と書かれているようですが、そのご意見に違和感を持ってしまいました。
神吉氏も書かれているように、現在、日本の日本語学校には、少なからぬ人数の「偽装留学生」がいるようです。そのことは、「偽装留学生」を受け入れてきた日本語学校が少数とは言い難い数存在しているであろうことも意味するものと思われます。そのような見識が低い日本語学校が、十分な留学資金がなく、しかも、その大半は学習意欲や学習能力も低い外国人を私費留学生として受け入れてしまっていることの責任を問われるべきではない、と神吉氏はお考えなのでしょうか。
その一方で、神吉氏の2番目のエントリーの『日本語学校の教育の質を評価するにあたってCEFRを基準に使うことは,一面妥当性がありそうですが,なぜCEFRなのかについて説明(場合によっては議論)が必要なのではないかと思います』というご指摘やそれに続く論点の提示は、大変参考になりました。
日本語教育関係者として有名なお二方がまとめられたご意見、ご見解を読むことができ、大変勉強になりました。
また、お二方とは別に、ご自身のnoteに
https://note.mu/e_hirasawa/n/n3ebfbea59712
日本語教育機関の告示基準の一部改正の提案から、教師に突きつけられたものは?
というエントリーをまとめられている日本語教師の方もいらっしゃるようです。
今回の改正案、パブリックコメントの受け付けは2019年5月27日まで
日本の日本語学校の在り方にご関心をお持ちの方々、特に日本語学校教職員の方々、ご自身のご意見やご感想をまとめて、2019年05月27日までにコメントや意見として提出されてみてはいかがでしょうか。パブリックコメントのページのURLを再掲しておきますね。
https://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=315000003&Mode
日本語教育機関の告示基準の一部改正について(意見募集)
長文、大変失礼しました。
多少なりともご参考になれば幸いです。
お読みいただき、ありがとうございました。